百尺竿頭

             「百尺竿頭に一歩を進む」という教えがある。
これは中国の古書「景徳伝燈録」の中に示された言葉である。
すでに努力を尽くした上に、さらに工夫を加え努力をすることの意である。

円融会は昭和58年10月に設立認可をいただき、令和5年で設立40年を迎えました。
今、40年の長い歴史を振り返ると様々なことが懐かしく思い出されます。設立当初は「特別養護老人ホーム」のような施設の必要性が世間ではあまり論じられることがなく、親子三世代がともに生活するという時代背景の中で、「子供が親の面倒を見るのが当たり前」という時代でもありました。このような時に私は寺の住職として、檀家をはじめ、ご老人の方々とご縁をいただく機会が多くありました。私はその方々と話をする中で、「終末を美しく迎えたい」という想いを何度も何度も聞くことがありました。私自身も、育ててもらった人たちを最期まで温かく見守りたいと日々感じていました。そしてご老人たちの想いを受け、その想いが私を特別養護老人ホーム設立に向かわせたのです。
爾来、行政はじめ、多くの皆様のご指導、お力添えをいただき、40年という歴史を積み重ねてまいりました。まさにこの40年は「百尺竿頭に一歩を進む」そのものです。そしてこれからの時代は、今までの蓄えられてきた豊かな経験をもとに、より高度な介護の知識に加え、新しい時代の介護の在り方についても学んでいかなければならないと思っております。
現在円融会は、兵庫県下だけではなく、ご縁をいただき平成29年千葉県野田市に特別養護老人ホームと障がい者施設を設立いたしました。そして、神奈川県川崎市において、令和5年に障害福祉サービス事業所も開設いたしました。また平成25年に新しく神奈川県川崎市に社会福祉法人清昭会も設立させていただきました。このように円融会グループが大きく成長し、地域貢献できているのも、皆様が円融会を愛し、温かく見守ってくださっているからだと感謝いたしております。
私は今、新しい出発点として「百尺竿頭に一歩を進む」の教えを胸に、一歩一歩、そしてまた一歩、歩み続けたいと思います。皆様の心の支えとなるような温かくそして時代にあった高度な福祉社会の実現のため、全力を尽くしてまいります。今後とも皆様のご指導とお力添えをお願いいたします。

合 掌

理事長 前川 清寿